矯正の抜歯をするかどうか?
抜歯するならどこを抜くのか?
解説
実は私は90%以上は抜歯しません。
①歯列の拡大
②7の遠心移動
③下顎の圧下
④IPR(歯間の削合)
で非抜歯(8番は抜歯)でほとんど対処します。
通常は4番を抜歯する事が多いですが、根管治療をしている場合は5番を抜歯します。下顎の左の7番の歯根には炎症があります。これは治療後に上顎の8番を移植しまうす。
抜歯する場合は
①根の治療をしている場合
②補綴している場合
③場合(形)によっては4番より5番を抜歯します
最終的に歯の形態(ガイド)を見ます。
この図では、INやCRの補綴している5番を抜歯します
インビザライン矯正の症例①
抜歯するかどうか?インビザライン矯正のシュミレーションのクリンチェックでビフォー(青)アフターを見ます
この患者さんは抜歯なし!を希望しました。
右の写真は青はビフォー、白がアフターです。
右の写真の青のビフォーと白のアフターを比べてください。抜歯なしでは、歯が骨から飛び出ます!
左の4番抜歯の場合は、歯の位置は飛び出ませんが
右の上顎は抜歯しないと歯が骨から飛び出ます!
下顎も左の4番を抜歯した場合は、歯が飛び出ません。右の抜歯しない方は歯が骨から飛び出ます! 最初の青と後の白の位置を比べてください。
抜歯なしでは治療は無理なので治療はおことわりしました
インビザライン矯正の症例②
上顎前突で下顎が見えない症例です。
抜歯せずに下顎の前歯部を圧下させます。
ビフォー
このぐらいの移動なら抜歯なしでOKです。
青はビフォーです。白はアフターです。
ビフォー(青)アフター(白)、歯が圧下するので
歯が骨からはみ出ません。
インビザライン矯正の症例③
前歯部の圧下は頬側の骨の厚さを必ず確認します。この症例は骨が薄いです
抜歯を避けるための拡大は、そうとう気を付けます。拡大しすぎで骨から歯が飛び出ないようにします。患者さんの口腔内も必ず来院した時にここを確認します。
インビザライン矯正の症例④
拡大のし過ぎで前歯が骨からはみ出てきた症例
左の写真を見てください。上顎は左右の4番を抜歯しました。下顎は抜いていません。
なぜ上顎の左右の4番は抜いたのに、下顎の左右の4番は抜かないのでしょうか?
それは、このまま前歯の下顎右の2番の歯肉が回復したら、このままで行き、だめなら抜いて並べればよいからです。
この方は最初から「下顎左右の4番抜歯の適応」症例です。
現在様子を見ています
インビザライン矯正の症例⑤
前歯の隙間が主訴で来院されました
臼歯部が咬まなくなってきました。
①左右の8番の突き上げ
②2年間以上のマウスピースの装着の厚みで臼歯部の圧下が起きた
(インビザラインの臼歯部の圧下は、2年以上シートを使わないと起きません。シートが薄いからです)
③3番の近心傾斜につられて上下顎がボー・イフェクトを起こしたからです。
インビザライン矯正の以外のマウスピース矯正の症例①
臼歯部が咬まなくなってきました
治療の途中でよくこれが起こります。
この場合は後で前歯部を圧下していけば簡単に治ります
インビザライン矯正の症例⑥
右の青がビフォー、白がアフター
7番の位置を確認してください。
7番を遠心移動したため前歯はさほど出ていません。
青がビフォー、白がアフターです
IPRの時期が遅いと、歯が骨から飛び出ることが良くあります。
同じ症例です
青のビフォー。白のアフターを比べてください。
IPRを先にすると歯は引っ込みました
最初の青とアフターを比べて、歯が出ていないか?
インビザライン矯正のクリンチェックで比べます。
インビザライン矯正の症例⑦
左は4番を抜歯しないと骨から歯が飛び出ます。
右は4番抜歯のために逆に前歯が引っ込みます。
「4番抜歯なら矯正はしない」ということで治療はお断りしました。
この患者さんは8番は抜歯しました。やる気はありました。
インビザライン矯正の症例⑧
珍しい抜歯のケースですが
これは上顎左の4番のみを抜いて左の8番を歯列に残しました
ビフォー
アフター(上顎左の4番を抜き8番を残す)
ビフォーアフター(正面)
ビフォーアフター(左側)左の4番抜歯で8番を加えています。
下顎のビフォーアフター
歯が飛び出ていません
インビザライン矯正の治療期間のルール
インビザライン矯正の症例⑨
左の臼歯部は拡大し過ぎで、反対咬合になっています。
まず上顎を6-6間を36mmまで拡大しました
下顎は逆に7番から4番まで1歯ずつ順番に縮小します。
下顎の拡大し過ぎが、歯列を縮小して治りました
左のかみ合わせも治りました
インビザライン矯正の症例⑩
上下左右の4番の4本抜歯です
ビフォー
上下左右の4番抜歯4本
アフター、前歯が引っ込みました
出歯がかなり治りました
4番抜歯は、口元が下がり小顔になる?ため女性の方が良く受け入れてくれます。
インビザライン矯正の症例⑫
上顎左右4番、下顎左右の5番の抜歯です。
パノラマ写真を必ず確認して、下顎は歯根が短い歯の5番を抜歯します。
この下顎の3番を見てください。このように3番が近心傾斜している症例が良くあります。
この場合は3番の遠心の4番か5番の抜歯パターンがほとんどです。
インビザライン矯正の症例⑬
上顎左の4番、下顎の左の4番
上顎右の5番、下顎の右の5本を変則抜歯しました
根管治療している5番の歯や、歯根が短い4番の歯を抜歯します
だから
インビザライン矯正の症例⑭
4番を4本抜歯しますが、8番を残す場合です。
3番4番に良くある「ガイド」を必ず確認します
(上顎)
上顎にある場合は、必ず下顎にもあります。これはペアです。
ビフォーアフターでガイドが崩れていないか?必ず確認します。
左は抜歯しない場合。右は4番抜歯した場合。
「ガイド」(ファセット)を確認します。
上下ペアです。
ビフォーアフターでガイドが崩れていないか?必ず確認します。
歯の移動中、上下3-3番の圧下で3番(フアセット)が当たらなくなり咬合崩壊しました
次に6番、5番の咬合が浮いて咬まなくなりました。こうやって矯正期間中に咬合が崩壊して、顎関節の症状を一時的に起こします。
矯正期間中は咬合に注意です。
アフターで「歯のガイド」がきちんと再現されているか?
必ず確認します
最初の3番のガイドの位置と比べてみてください
歯が離れて全くガイドしていません
インビザライン矯正の症例⑭
下顎の右の5番の歯の傾きをご覧ください。
この下顎の右の5番の歯は萌出が困難なため抜歯しました
正常な咬合
皆さんは通常上下左右の4番抜歯を選択するのではないでしょうか?
この症例は、上顎の4番、下顎の5番を抜歯しています。これを行った矯正の先生はガイドをよく見て抜歯の判断をしています。
素晴らしい治療方針です!
インビザライン矯正の症例⑮
4番を抜くか?5番を抜くか?歯の形を見ます。
4番と5番では形がだいぶ違います。
上下顎の左右の5番の4本の抜歯です。
出っ歯は引っ込みます
下顎は左右の5番の抜歯です。下顎の抜歯は口腔内写真で見たように
5番は歯の形が4番と比べて形が小さい、4番の方が歯の形が良いので5番を抜きます。
咬合形態のバランスを考えて左の下顎も5番を抜歯します(5番はすでに舌側転移)
抜歯後のビフォーアフターでガイドの確認を必ずします。(右側)
(左側)
ビフォーアフターでのガイドの再設定の方法です
ビフォーアフターのガイドの位置を確認します(右側)
(左側)
まずは咬合をくまなく見ます
緑の点の色の当たりが合格、赤は強く当たっている所です。
赤い所は強く当たっている個所です。
咬合調整します。
ビフォーアフターで、赤い所は以前より強く当たっている個所です
ワイヤー矯正の場合のユーティリティーアーチの圧下です。
左下の3番の圧下に「三日月アタッチメント」ではなく「特殊アタッチメント」を作ってきました。これでは歯が咬合面方向に挺出しすぎます。
向こうのミスです
圧下は「三日月アタッチメント」が良いです
アタッチメントついては↓
波多野先生の教え
浦和市開業、世界一のインプラントセンターを持つ。3億円の全身ヘリカルCT,技工士用とDR用の同時セミナールーム、同時通訳ルーム,★〇の本物の絵画もある!
インプラントを成功の3つの条件
①滅菌(20坪の滅菌ルーム)これによりかなり脱離が減る!
②インプラントを圧迫して埋入しない。むしろゆるいぐらいが良い。
適切なドリルホールをあけて骨とインプラントとの自然な血流をつくる
③インプラント体と上部構造の接合部を完璧にする(最初から接合部が完璧なS社が良い。スイスでは個室で精密にこだわり)
•これとおなじく、インビザラインは3番を圧下後
(三日月アタッチメントで圧下と反対側に隙間を設けて、歯を自然に少し提出させさせて)
•歯と骨の自然な血流をつくる!
•歯が骨に結合しやすくやすくなる。
追加アライナー製作時の着目点
マウスピースがあわなくなったら、治療計画の作戦を練り直して、即追加アライナーの注文をします。前回のクリンチェック上の動きと、実際の動きを比較してください。
右で実際の歯牙の動きをチェックします。35㎜までしか拡大できていません。PhaseⅠで指示通り拡大床を使用していても、この程度の誤差が出てくることはよくあります。拡大量が不足している場合は、再度PhaseⅠをやり直します
臼歯遠心移動
目標の拡大量が達成できていた場合 、 臼歯部の遠心移動をおこないます。
大臼歯は1歯ずつ、小臼歯は同時または1歯ずつ 移動します。
6前歯リトラクション時の2-3間スペースが気になる場合は、 3→4前歯の順に〇〇ステージ毎に交互にリトラクションしてください。
例) 7→6→5と4(同時)→3→4前歯
6前歯リトラクション時の2-3間スペースが気になる場合は、 3→4前歯の順に〇〇ステージ毎に交互にリトラクションしてください
★指示例
①上顎の歯牙の遠心移動は、7番の移動が完了してから6番の移動をしてください。6番の移動が完了したら5と4番の移動、5と4番の移動が完了したら3番の移動、3番の移動が完了したら1と2番を移動してください。
②上顎の歯牙の遠心移動は、両側7→6→5と4(同時)におこない、3→4前歯は1㎜ずつ交互にリトラクションしてください。
臼歯遠心移動の原則 ~Ⅱ級~②
A. SIの脱離が1回のみの場合
上顎5-6(or 4‐5)間にSIを設置し、 上顎3番から上顎SIへ顎内ゴム
SIの打ち直しが必要
上顎5‐6間のSIを撤去、上顎3-4間にSI再埋入
上顎5-6間にSI再埋入
臼歯遠心移動 ~SI設置できない場合~ ③
B.SIの脱離が複数回繰り返す場合
SIに歯根が当たらない様にするため、SIを下顎の5-6間、もしくは6-7間へ設置します。 下顎のSIから、上顎3番のボタン、もしくはプレシジョンカットへ2級(顎間)ゴムを掛けます。
★指示例
上顎遠心移動は7→6→45(同時)→3→4前歯
の順にそれぞれ1.0㎜ずつ移動させながら行ってください。
臼歯遠心移動の注意点 ④
必ず必要なボタンカットを設置してください! ボタンカットが付与されていないと、 チェアサイドですべてのアライナーに ボタンカットを付与しないといけなくなります。でも心配ありません。その場合には、 患者さんにボタンカットの装置の貸与をすれば解決です。お勧めします。
臼歯遠心移動の注意点 ⑤
上下顎移動ために作戦を立てることが大事です。
上下顎で遠心移動がおこなわれる場合には、それに合わせてSIを適宜埋入し直す必要があります。
★スタッフへの指示例
ステージ#1でアタッチメントおよび上下両側3番にボタンを設置してください。
・上下顎の遠心移動には、臼歯部にSI埋入し、3番ボタンと顎内ゴムを併用してください。
【上顎】#1で両側5-6間にSI埋入
#26で両側6-7間にSI再埋入
【下顎】#1で両側5-6間にSI埋入
#19で両側6-7間にSI再埋入
・ステージ#42で必ず追加アライナーを検討してください。
臼歯遠心移動 ~上下顎でおこなう場合~⑥
必ず顎内で上顎は上顎、下顎は下顎のSIでゴムを引きます
SIがOK!なら上下顎でも簡単に歯は移動します。
下顎前歯の圧下
下顎前歯の圧下は、6前歯同時におこなわず、順次圧下してください。
①2段階圧下: 4前歯 → 両側3番
②3段階圧下: 1番 → 2番 → 両側3番 (こちらを推奨!)
圧下量が2㎜以上の場合は、SI併用指示を出してください。
★指示例
①下顎前歯部の圧下は、下顎4前歯→下顎両側3番の順に3ステージ毎に交互に移動させてください。
②下顎前歯部の圧下は、下顎両側1番→下顎両側2番→下顎両側3番の順に3ステージ毎に交互に移動させてください。 (こちらを推奨!)
アタッチメント ・ ボタンカット ①
アタッチメントは移動量の大きい歯牙には付与しないでください。移動量が1㎜以下になったら付与してください。
※移動量が大きな歯牙は、ある程度のアンフィットは想定内です。
アタッチメントが付与されているとアンフィットしやすくなり、早めに追加アライナーを発注しないといけなくなってしまいます。
臼歯部ボタンカットを近心・遠心寄りに付与すると、ゴムがかかりにくいことがあるので注意してください。
アタッチメント ・ ボタンカット ②
アタッチメントは、移動しない臨在歯に付与してください
前歯部の移動量
非現実的な唇舌側への歯牙の移動に注意してください!
根尖を振りすぎないように傾斜移動を心掛けてください
★指示例
下顎前歯の唇側への移動は1㎜以内とし、それ以上は歯頚部の位置は変えずに切縁を唇側へ傾斜させてください。
臼歯遠心移動の注意点 ⑦
遠心移動をおこなう歯牙をオーバーラップさせないでください 。
このような動きだと…
① SI埋入ができません。
②固定源が不足し、狙い通りに遠心移動
が達成できません。
上下顎前突、上下両側4番抜歯ケース
①この場合は、抜歯ケースはできることならセクショナルワイヤーを併用し他方が確実です(実は私はほとんどやりませんが、、、)
②アライナーの使用は前歯部のみです。1歯分はワイヤーとアライナーをオーバーラップさせてください。 このケースの場合は、両側3-3までアライナーを併用します。
6前歯のリトラクションは、数ステージ毎に交互に移動させてください。
前歯の舌側傾斜を防ぎたい場合は ルートリンガルトルクを指示します。
★指示例
①前歯のリトラクションは常に3度のルートリンガルトルクをかけ続けてください。
②上下顎6前歯のリトラクションは、両側3番→4前歯の順に3ステージ毎に交互に移動してください。
下顎前歯の圧下
下顎前歯の圧下は、6前歯同時におこなわず、順次圧下してください。
①2段階圧下: 4前歯 → 両側3番
②3段階圧下: 1番 → 2番 → 両側3番 (こちらを推奨!)
圧下量が2㎜以上の場合は、SI併用指示を出してください。
★指示例
①下顎前歯部の圧下は、下顎4前歯→下顎両側3番の順に3ステージ毎に交互に移動させてください。
②下顎前歯部の圧下は、下顎両側1番→下顎両側2番→下顎両側3番の順に3ステージ毎に交互に移動させてください。(こちらを推奨!)