⑫・前歯は噛むが
奥歯が噛まなくなってきた!
マウスピース矯正の症例
下顎の7番を拡大庄で4mm拡大して
大臼歯の7番を起こしました
上顎下顎ともに4mmずつ拡大しています。抜歯はしていません。
倒れてきた7番が起きて、臼歯が噛まなくなってきた時のパノラマ写真。
臼歯部が咬まなくなってきました
前のスライドと今回のスライドの
下顎の左の臼歯部と前歯部の咬合平面を見てください。
❶下顎の前歯部が「挺出」しています(オレンジ)
❷下顎の左の7番は起きたのが中途半端なので
頬側の咬頭が早期接触して臼歯部に隙間が出来て
噛まなくなりました(青)
ビフォー・アフターの咬合平面
下顎の左の7番は起きたのが中途半端なので
頬側の咬頭が早期接触して咬合が上がりました!
下顎の右の7番も起き 上がりがもう少しで
ここも下顎右側7番の頬側咬頭が早期接触して
臼歯部の咬合面に隙間が空いて噛まなくなる原因です
「挺出(ていしゅつ)」(歯が骨から出てくる)とは
「歯の移動方向のひとつ」です。
*対義語(逆の現象)は「圧下(あっか)」(歯が骨にめり込む)です。
一般的に下記4枚のイラストのように
「歯を切縁方向(歯の先端)への移動」を指します。
(歯が出てくる「引っ張り出す」方向への移動)
神保町矯正歯科クリニックのホームページから
治療の途中でよく起こります
この場合臼歯部と前歯部を同一の平面にするように咬合平面を揃えます。
「挺出」の逆は「圧下」です
上下顎の臼歯部・前歯部の問題の歯を圧下すれば
咬合平面がそろい正常になります
今回は下図の
❶下顎左右の7番を完全に起きるまでに再拡大
❷青の下顎の3-3を圧下
❸、❶でもだめ、またはもう拡大庄を入れるのが嫌なら、赤の下顎の7番を「圧下」しながら遠心移動
その際必ず上顎の左右8番を2本、下顎左の8番は抜歯します。
❶❸のいずれにせよ
8番3本はすべて抜歯します。
この8番を残して拡大したのが大間違いです。
8番の抜歯渦には7番が容易に圧下して遠心移動します
パノラマ写真を下顎の左の7番を見てください。
歯が「挺出」しているのがわかります。
解決法❷
❷下顎前歯の圧下
(上顎も同様の手順です)
下顎前歯の圧下は、6前歯同時におこなわず、順次圧下してください。
①2段階圧下: 4前歯 → 両側3番
②3段階圧下
両側3番 →両側 2番 → 両側1番
(こちらを推奨!)
咬合平面を見て1番、2番、3番の順番もあります。
とにかく出ている歯を圧下します。
圧下量が2㎜以上の場合は、SI(ショートインプラント)
併用の指示を出してください。
★指示例(クリンチエック)
①下顎前歯部の圧下は、下顎4前歯→下顎両側3番の順に3ステージ毎に交互に移動させてください。
②下顎前歯部の圧下は、下顎両側3番(3・3)→下顎両側2番(2・2)→下顎両側1番(1・1)の順に3ステージ毎に交互に移動させてください。(こちらを推奨!)
2-2番を圧下(骨に歯をめり込ませる)する前に3番を必ず先に圧下します
マウスピースで圧下してこないなら
SI(ショートインプラント)を埋入します
ぜひ一度試してください。
3番の圧下は本当に容易に出来ます
3番に「ボタンカット」を指示します。
ステージングの模様を見てください。
下顎の最初は、1,2,3番の順番に圧下(移動)させています。
上下顎ともに3パターンで歯を動かしているのがわかります。
ちなみに、上顎は4・5・6・7番を先に拡大のために動かし
次に7番・6番・45番・3-3番の次に動かしているのが確認できます。
解決法❸
❸下顎の左右8番を抜歯したあとすぐに7番を圧下しながら遠心移動すればマウスピースのみで咬合が正常化します。
マウスピースを口に入れているだけで、絶えず臼歯部に圧下の力がかかります。 だからマウスピースの厚さが原因で臼歯部が噛まなくなることが多いのです。
開咬の場合は 、拡大だけで臼歯部が圧下する場合が非常に多いです。
ワイヤー矯正に比べて、マウスピース矯正の方が「開咬」は得意症例です
もしも7番の圧下がマウスピースのみで困難な場合は、8番を抜歯して7番を遠心移動するか。SI(ショートインプラント)を7番の圧下に併用します。
SIを使用すると圧下が簡単にできます。
★指示例
①#1から下顎7番の圧下しながら遠心移動してください。
すでに下顎の8番は抜歯しました。
また下顎左右7番にボタンカットをお願いします。
インビザライン矯正の症例㉕
上下顎の前突(出っ歯)です。この症例は抜歯していません。
上下顎を拡大庄で拡大しました。
上下顎の6・7間にSI(ショートインプラント)を入れて上の6・7番の咬合平面をそろえるために上顎の6番を圧下した症例
臼歯部を圧下すると臼歯が低くなり、下顎の臼歯部が上に上がり、前歯部が下に下がり咬合平面が改善されます。それにより前歯部の過蓋咬合が改善されます
アフター
SI(ショートインプラント)により上下の6・7番を圧下しました。
上下顎の左右の6・7番にまだSIが残っています。
SIは時期をみて外します。
インビザライン矯正の症例②
前歯部が全く咬まない、開咬の症例です。
この症例は治療に1.6年かかりました。
上下顎を拡大ただけで
SI(ショートインプラント)は全く使用していません。
インビザライン矯正は開咬は得意です!
常にマウスピースで臼歯部を圧下させるように咬むからです。
拡大だけで治るケースが多いです。
上顎の6・7番をSI(ショートインプラント)で圧下した症例
インビザライン矯正の症例⑰
上顎前突と開咬
ビフォー
この上顎正中口蓋にSI(ショートインプラント)を2本打った症例
上顎の6番7番を圧下するために上顎口蓋側正中に
SI(ショートインプラント)を埋入しました。
臼歯部を圧下すると臼歯が低くなり、下顎の臼歯部が上に上がり、前歯部が下に下がります。それにより咬合平面が改善されます。前歯部の過蓋咬合が改善されます
口蓋は斜めにSIを打たないとやりにくいです。
これに6番・7番の口蓋側のマウスピースは口蓋側をくり抜き
口蓋側の歯面に金属のポッチを付けSIにゴムかけて
6番・7番を圧下します。
(患者には「ボタンカットの装置を貸与)
上顎の6番7番は本当に良く引っ込みます!
アフター
抜歯はしていません
(ぺるった下顎左7番のみ抜歯しました。その代わり
下顎左の6番にインプラントを埋入)
ホーム・自己紹介・の一番最後のスライドを参照⇓
インビザラインでは3番が近心傾斜していると前歯が圧下して開咬状態になる
ワイヤー矯正でも同様なことが起こります。
インビザラインではそのシステムが見にくいだけです
インビザラインで3番の遠心傾斜では前歯の挺出が起こります。前歯が高くなり、臼歯部が低くなります(臼歯部の咬合に隙間が空いて咬まなくなる)のが原因の1つです。アタッチメントを前歯に使っていると良く起こります。
ワイヤー矯正は同様におきます
インビザライン矯正で臼歯部の圧下により臼歯部が離開するのは、インビザラインのシートの材料には厚みを薄くするテクノロジーがあるため2年以上インビザラインのシートを装着した場合です。
「インビザライン矯正の付属装置」の最後のシートの材料の話を参照↓
インビザラインのシートと比べると他のマウスピース矯正の材料は
厚みが大きいので3か月で早くも臼歯部が離開してくることがあります。
注意が必要です。
3番4番5番6ガイドが上下左右とも崩壊!
インビザラインでは奥歯の圧下や前歯の挺出で良く起こります
3番4番5番6ガイドが上下左右とも崩壊!
インビザラインでは奥歯の圧下や前歯の挺出で良く起こります
臼歯部が咬まなくなってきました。
❶2年間以上のマウスピースの装着の厚みで
臼歯部の圧下が起きた?
インビザラインの臼歯部のシートの厚さが原因の歯の圧下は
2年以上シートを使わないと起きません。
シートが薄いからです。
(インビザラインのシートについて参照「ボタン」をクリック⇓)
❷左右の8番の突き上げ
左右の8番をご覧下ください
この方はたった1か月前はすべて咬合していました。
マウスピースは7番までなので、8番が出てきたら
7-7までの歯は抑えれれますが、8番は抑えらえません。
また、もともと後方に下がっていた下顎が
歯列がよくなり容易に前方に出せるようになったのも原因です。