㉕・反対咬合( 上顎前突・過蓋咬合・下顎前突)の治し方
下顎前突(受け口)の重要な注意点
下顎前突は、下顎の6・7間か5・6間にSIを打ち、下顎の3番にボタンカットして「3番のプラスチックのボタン」からSI(ショートインプラント)にゴムをかけます。7番を遠心移動、そのあと6番、45番は一緒、3番、2-2番を順番に動かします。
❶その基本パターンを最高3回繰り返します。
この時に、前歯部2-2番の舌側の骨があるか?CTで必ず確認します。
❷CTの舌側の歯の状態を確認したら、それに合わせて2-2にリンガルルートトルクを「3度から6度の範囲」(ほとんど3度)で かけ続けて遠心に歯体移動させます。またその為に上顎2-2には「パワーリッジ」を設置します。
クリンチエックへの指示内容
⑳上顎2-2前歯がリトラクション中に舌側傾斜しない様に、上顎4前歯に「パワーリッジ」を 設置してルートリンガルトルクを加え続けてください。前歯のリトラクションは常に3度のルートリンガルトルクをかけ続けてください 。
✴︎通常〇のラウンドワイヤー矯正の場合、歯にトルクがかからず傾斜移動となり、2-2は骨の中の歯根は1/3の支点で回転し骨中に納まります。
これが〇ワイヤー矯正の良い所です。
❸2-2番の舌側の骨量が十分ないと舌側へ歯体移動はできません。
また時間をかけてゆっくりと遠心移動しないと骨がついてこれません。
だから7・6・54・3・2-2の遠心移動の基本パターンを
1回あたり42週(6ヶ月)毎に3回に分けるのです。
❹また「舌の位置が下方位」・「舌小帯がきつい」のは
舌の先端で2-2の舌側移動を突き返してしまします。
舌は上顎につけるように指導します
「小児歯科」参照・白の「ボタン」⇓
❺SIは必須です。SI(ショートインプラント)は移動する歯根にぶつからないように、お金に糸目をかけず必要な数だけ打ちます。
SIを打たないと、2-2番以外の歯が遠心に移動する反作用として2-2番が近心頬側の皮質骨を押し出し
歯が骨から飛び出ます!
SI(ショートインプラント)は黒い「ボタン」
小児歯科は白い「ボタン」
反対咬合の場合のクリンチエックの
指示内容です
「D・上顎4番と下顎の5番を抜歯する場合」参照
「ボタン」⇓
⑲2-2の歯が遠心に動く際には、最初から最終の位置まで、それぞれの歯を最短距離で移動させてください。歯が歯の挺出している場合は圧下しながら移動させてください。
⑳上顎2-2前歯がリトラクション中に舌側傾斜しない様に、上顎4前歯に「パワーリッジ」を 設置してルートリンガルトルクを加え続けてください。前歯のリトラクションは常に3度のルートリンガルトルクをかけ続けてください 。
下記の症例(下顎前突・3級)は、頬側が薄いです。
だから舌側へ2-2を移動の方が自然です。
2年で咬合平面が真っ直ぐに改善
下顎の左右8番を抜歯。下顎の左右6・7番の間にSI(ショートインプラント)を埋入
最初の状態・下顎前突(受け口)です。
最初の下顎の状態
第1回目
#1から#4は練習、#5から#22は7番・6番の遠心移動の(第1回目)
です。
大臼歯の一回の移動は2mm以内です。
それを3回繰り返すと、2mmx3回=6mmです。
6mmの移動が最大です。
これ以上の移動はNGです。非抜歯でやるには
❶小臼歯の抜歯
❷他の歯のIPR(ストリッピング)を滲みない程度に
最大限 多くするしかありません。
青が最初・白が後
#23から#29まで4・5番を遠心移動(第1回目)
青ビフォー・白が後アフター
#30から#37まで3番を遠心移動(第1回目)
#38から#48まで2-2番の遠心移動(第1回目)
下顎2-2番の遠心時の舌側への移動は、必ず骨があるか?
移動時に事前にCT写真見て必ず確認します。
骨がないと歯は移動しません!
移動の際は、「パワーリッジ」を設置し、下顎が遠心に移動する際に舌側傾斜しないように「3度から6度のルートリンガルトルク」をかけ続けます。
(3度が一番多いです)
クリンチエックの指示内容
⑳上顎2-2前歯がリトラクション中に舌側傾斜しない様に、上顎4前歯に「パワーリッジ」を 設置してルートリンガルトルクを加え続けてください。前歯のリトラクションは常に3度のルートリンガルトルクをかけ続けてください 。
第2回目
#49から#63まで第2回目の6・7番の遠心移動
#64から#70まで4・5番の(第2回目)の遠心移動
#71から#76まで3番の(第2回目)の遠心移動
#77から#84まで第2回目の2-2番の遠心移動
第3回目
#85から#91まで第3回目の6・7番の遠心移動
ビフォー・アフター
99週までやったら追加で次のステージのマウスピースシートを作ります。
下顎は1・2・3のステージで前歯部4mm臼歯部6mm遠心に移動しました。
臼歯部6㎜・前歯部4mm遠心移動
これが遠心移動の限界です。
1ステージの大臼歯の遠心の移動量は2mm以内です。だから3ステージで2mmX3ステージ=6mmです。
小臼歯の幅径は6mmです。これ以上の大臼歯移動は限界です。
小臼歯抜歯かIPR(ストリッッピング)を超多用が適応です。
初診時の3DCT写真
(右側と舌側)
前歯部はこの時点で遠心に2-2番を歯体移動をして良いだけの骨があるか?
必ずCTで確認します。
上顎前突の治し方
抜歯せずに下顎の前歯部を圧下させます
ビフォー
同じタイプのこの方は
上顎の前歯が後方に引っ込んでいます!
専門的には2級2類の分類です。
口の開け方は2通りあります。
2級2類が下顎の前方運動する時に
❶口を開けて下顎を前に出すタイプ
❷口を開けずに下顎をスライドさせて前に出すタイプ
の2種類があります
インビザライン矯正の症例⑤
過蓋咬合❶
下顎が見えなくなる出っ歯(過蓋咬合)の症例です。
抜歯はしていません。
1.6か月かかりました。
❶口を開けて下顎を前に出すタイプ
アフター
上顎左の2番は元からありません。
拡大庄やSI(ショートインプラント)もやっていません。
インビザライン矯正の症例⑪
過蓋咬合❷
上顎が下顎を覆う過蓋咬合です
❷口を開けずに下顎をスライドさせて前に出すタイプ
アフター
この人は
❷口を開けずに下顎をスライドさせて前に出すタイプ
のため、上顎の前歯部(左上の1番)が欠けていますが
これは下顎の前歯の通り道なのでCRやジルコニア等をかぶせずに
そのままにします。
インビザライン矯正の症例⑥
反対咬合(受け口)2級症例❶
上下顎前歯部の反対咬合です。6か月で反対咬合はなりました!後の1年は噛み合わせの治療に費やしました。咬合は2級のため上顎のみ拡大しました、
その際に上顎の舌側には、下顎の突き上げをストップする上顎舌側につけるストッパーを設置しています。ワイヤー矯正よりインビザライン矯正は咬合を上げるためスムーズに前歯部の移動が行われます。
1年8か月で治療は
終了です。
SI(ショートインプラント)は使用していません。
ビフォーアフター
インビザライン矯正の症例⑦
反対咬合(受け口)2級症例❷
上顎前歯部の反対咬合です。治療期間は2年です。
インビザラインの上顎のみ拡大庄を4か月入れました。
アフター
上顎はかなり移動しました
インビザライン矯正の症例⑫
反対咬合(受け口)3級症例❶
下顎の反対咬合(受け口)です。下顎の前歯部も隙間が空いています。
抜歯はしていません。
上顎のみ拡大しました。治療期間は、2年です。
アフター
反対咬合が治りました!
咬み合わせもバッチリです。
さらに若々しくなりました!
インビザライン矯正の症例⑩
上下左右の4番の4本抜歯です
ビフォー
上下左右の4番抜歯4本
アフター、前歯が引っ込みました
出歯がかなり治りました
4番抜歯は、口元が下がり小顔になる?
ため女性の方が良く受け入れてくれます。
臼歯遠心移動の原則 ~Ⅲ級~①
① 顎間ゴムは下顎7番の遠心移動が2㎜以内 です。
(顎間ゴムは2mmが限界)
②上顎6-7間にSIを埋入し、Ⅲ級顎間ゴム をかけます。
③歯が移動するより、下顎が遠心に動き、顎関節が遠心に移動すれば効果が全くありません。
気を付けてください。
顎間ゴムの場合
臼歯遠心移動の原則 ~Ⅲ級~②
① 顎内固定・・・下顎7番の遠心移動が3㎜以内
こちらの方が顎外固定よりも断然確実です)
下顎7,6番の遠心移動時は
下顎5-6間にSIを設置
下顎3番から下顎SIへ顎内ゴム
下顎6番の移動完了後に
下顎5-6間のSIを撤去
下顎6-7間にSIを設置し下顎3番から下顎SIへ顎内ゴム
臼歯遠心移動の原則 ~Ⅲ級~③
顎内固定 ★より強固なアンカーが必要な場合
◆下顎7→6遠心移動時
下顎6番近心 or 下顎5番近心にSI設置し
下顎5番 or 下顎4番へボタンを設置する。
SIからボタンへワイヤー結紮して固定する。
これにより、顎内での固定ができる。
◆下顎7→6→5・4遠心移動時
3‐4間にSIを設置して、3番ボタン とワイヤーで結紮する方法もあります。
この方法だと6番遠心移動完了後に SI再埋入の必要がありません。
臼歯遠心移動の原則 ~Ⅲ級~特別編 ④
③ 顎内固定・・・下顎7番の遠心移動が3㎜以内
5mm以上の移動なら、ミニプレート(旧SMAP)設置指示を出してください。 (SMAPなら8mm以下の移動可能です)
ただし、ミニプレートが設置可能なケースは限られているので、極力下顎の遠心移動は3㎜以内に設定し、それ以上の移動は臼歯部のIPRで対応してください。
安易に下顎の遠心移動を3㎜以上に設定しないでください!