㉝・E・クリンチェック
⑤開咬の指示内容
(ワード)
㉟#1から#OOまで上顎の7番・6番を順番に圧下していってください。またその2つの歯に口蓋側にボタンカットを入れてください。
㊱7番6番の圧下が終わったら、5番・4番は同時に圧下してください。
㊲上顎の臼歯を圧下する際は、その歯が圧下する時のみ、ボタンカットを入れてください。またその歯にアタッチメントもつけてください。移動が終わったらボタンカットは取ります。
通常はこのクリンチエックで抜歯は必要なく
拡大庄のみ で治療出来ます。
これでだめならSI(ショートインプラント)を使います。
中ごろの「開咬症例❹SI多用で治療した症例」を参照
この例を載せています
*通常
❶開咬は上下顎を基準の6-6間の舌側面(最大豊隆部を結ぶ距離)を
36㎜~40㎜に拡大して上記の圧下の文章を加えれば、SI(ショートインプラント)無しでほとんど(9割以上)の場合は治ります。
それでも臼歯部が高く開咬が残る場合は、上顎か下顎のどちらか に
SIを打って、7番・6番・45番の順番に歯を圧下します。 だから、先にそのためのボタンカットを指示しておきます。
ボタンカットを入れると、マウスピースのシートの強度が弱くなります。
その場合、他の部位のボタンカットは最小限にします。
患者さんに「ボタンカッター」を渡してカットしてももらっても構いません。
❷上顎の場合は、口蓋正中に必ず2本から4本(1本だと心持持たないので)か
口蓋側の斜面に左右2本ずつ・または両方の合計2本から6本打ちます。
(次のスライドに写真あり)
❸下顎の場合は、6・5間、4・5間の歯根付近の不動粘膜と可動粘膜の所を見極めて不動粘膜にSIを打ちます。
下顎の場合、次のスライドを見ればわかりますが、7番を真っすぐに圧下できるようにSIを打てる場所がなく7番の圧下は非常に困難な状況の場合が多いです。
7番は8番を抜いてすぐに圧下しながら遠心移動した方が良いです。クリンチエックに指示すればインプラント無しでも7番は圧下して遠心移動します。
クリンチエックへの指示
㊵右下8番は抜歯します。#1から 右下7番は、圧下しながら遠心に移動させてください。
*❻6番はSIを打つ場所に「可動粘膜」が多い場合は「歯肉弁根尖側移動術」をします。インプラントをやっている先生は良くやります。(次のスライドに写真あり)
*❼下顎は7番(SIを打てる条件が合えば)、6,5,4番の順にボタンカットを入れて、歯に金属ボタンを付け、ゴムの一番短いハードタイプで歯を圧下させてきます。患者さんに毎日ゴムを変えてもらいます。
SIの場合は 上下とも歯は 本当に良く圧下します!
❽上下の歯のどちらかを圧下するかは咬合平面や
7番、6番のSIを打つ条件を見て決めてください。
私はだいたい
A・「開咬」は8番を抜いて7番の遠心移動
下顎の臼歯部を圧下
または
B・「開咬」か「上顎前突(非抜歯)」は
上下顎の臼歯部を圧下しています。
(抜歯できない場合)
上記の位置のSI(ショートインプラント)は下顎の遠心移動用です。圧下用はもっと下の可動粘膜と不動粘膜の際の所です。 もし可動粘膜が多いならレーザーで不動粘膜を増やします。
レーザーが無いなら「歯肉弁根尖側移動術」(インプラント治療では良くある)を行います。(下の写真)
インプラント治療でよくやる
「歯肉弁根尖側移動術」
下顎の左右の7番のためのSI(ショートインプラント)を打つのは困難です。8番を抜いてすぐに7番を遠心移動します。
SI無しでクリンチエックの指示のみでOK!の場合がほとんどです。
7・6番間にインプラント打っていますが、この位置から7番を圧下のためにゴムでひっ張ると7番は近心傾斜してしまいます。(このSIは下顎の遠心移動用)
また7番を圧下するために、頬側の下の不動粘膜の所にボタンを付けるのは困難です。
当院で上顎の口蓋の正中口蓋に
2本打った症例
上顎前突の場合は、上顎の7番。6番を圧下します。
上顎の7・6番は口蓋側の根が一番大きく支点となるので、この根を主に圧下します。SIは近遠心に斜めに入れないと打ちずらいです。
1日20時間のマウスピースシートを入れさせました。
それにより臼歯部に圧下がかかり、咬合が改善されました。
この症例は上下顎6-6間を38mmへ拡大しました。SIは使用していません。
クリンチエックへ臼歯部の圧下を指示しただけです。
正中はもともと上下顎骨・頭自体がずれているのでこれが正常です。
開咬症例❷拡大庄のみで治癒した症例
インビザラインの開口症例(軽度)・上下6-6間を 38mmへと拡大 しました
SIを使わず抜歯もせずに、拡大庄を使いました。
臼歯部の圧下の指示だけで治りました
開咬症例❸抜歯(上顎4番・下顎5番)のみで治療した症例
開咬の抜歯(上4番・下5番を抜歯)症例のクリンチエックの右横の動画です。
SI(ショートインプラント)や拡大庄は使用していません。画面の半円の青の線は「ボタンカット」横長の青い線は「パワーリッジ」です
3番と6番の「最適アタッチメント」を向こうに着けてもらいます。
その後上下顎6-6間を通常36mmの所を38mm~40mmまで拡大庄で拡大します。顎を広げて、開咬している前歯を引っ込める為です。
なぜ3番と6番の4か所か?と言うとこれ以上最適アタッチメントを付けると
拡大中は歯がずれて来て拡大庄の調整が難しくなるからです。
なので最低限の4か所にしています。
拡大はインビザラインのシートを変えるたびに患者さんに装置を90度回してもらいます。インビザラインの治療と同時並行で拡大を行います。
ノンクラスプ拡大庄なので調整が非常に楽です!
SI(ショートインプラント)は、下顎6・7間と下顎4.5番の歯頚部下の不動粘膜に埋入します。上顎のボタンカットは、下顎にSIを打ちずらく、下顎が圧下できない場合に、上顎を圧下させる為の予備で開けてもらいます。
SIにH3やH4のゴムをかけて臼歯部を「圧下」させて行きます。
SIは割と簡単に埋入できます。浸潤麻酔から2・3分で埋入可能です。
基本SIは「取れる」のが基本です・取れてくれないと困ります!
私は、親知らずの抜歯はジャスト1分です。
下顎の5番の圧下です。
3番のボタンカットは3番の捻転が治らなった場合の予備です。
治らない場合は、3番にロングフックを付けて2番の歯頚部にボタンを付けゴムで引っ張りを捻転を治します。
近心傾斜などの改善には
臨在歯の頬側にボタンを設置するか、アライナーへボタンカットを入れて、ロングフックとエラスティックでゴム掛けします。
下は4番の捻転を治す場合です。
下顎の4番の圧下です。
ゴムが斜めにかかっていますが、シートの動く方向の縛りがあるので、これもすんなり圧下します。
上顎5番の挺出です。
下顎の4・5間のSIにゴムをかけて挺出 する為に引っ張ります。
上顎5番の挺出です。
下顎の4・5間のSIにゴムをかけて挺出 する為に引っ張ります。
上顎の3番の挺出と遠心移動の為に
下顎の6番のSIと上顎の3番のボタンにゴムを掛けます
咬合平面が治りましたので、あとは上顎前歯部を遠心移動するだけです
マウスピース矯正はシートを入れているだけで
「歯を骨にめり込ませる」歯の圧下への力が働きます。
1年6か月で治療は終了しました。
開咬症例はワイヤー矯正よりマウスピース矯正の方が得意です。
SMAPで開口及び反対咬合を直した症例
(パノラマ写真で解説)
この写真で「開咬」がよく確認できます。
前歯に空間が空き、奥歯だけが噛んでます。
咬合平面が球場に曲がっています。
8番の抜歯ともにSMAPを埋入。SMAPで下顎の6番7番を圧下しました
SMAPについては「インビザラインの付属装置」参照
スタートは16歳、終了は17歳です
SMAPは確実に骨にくっついていました
予後5年後
左上の8番が出てきたため抜歯
上顎右の6番はCで疼痛のため抜髄しました
10年後も予後は安定しています。
交合平面は、ほぼ真っすぐです